原価・歩留まり
魚の原価を正確に管理するには?kg単価から一皿原価まで解説
「1kg 3,000円の魚だから、100g使えば原価は300円」
丸魚の場合、この計算では実際の原価とズレることがあります。魚には頭・骨・内臓など、料理に使わない部分があるからです。
魚の原価を正確に管理するには、仕入れ時のkg単価だけでなく、歩留まりを考慮して一皿あたりの食材原価を計算することが重要です。
基本の流れは、kg単価 → 歩留まり → 使用可能部分の単価 → 一皿原価 → 原価率の5ステップ。この記事では、具体的な数字を使いながら魚の原価計算と管理方法を解説します。
※以下の金額・歩留まりは計算方法を説明するための仮定例です。金額はすべて税抜きとします。
魚の原価計算は5つのステップで考える
| ステップ | 確認すること |
|---|---|
| ① kg単価 | 魚をいくらで仕入れたか |
| ② 歩留まり | 仕入れた魚の何%を料理に使えるか |
| ③ 使用可能部分の単価 | 実際に使える部分は1g・1kgあたりいくらか |
| ④ 一皿原価 | 一皿に使う魚とその他の食材はいくらか |
| ⑤ 原価率 | 販売価格に対して食材原価が何%か |
この順番で計算すると、魚の仕入れ価格から料理の原価率までを整理できます。
1.魚のkg単価を確認する
まずは仕入れ時のkg単価を確認しましょう。例えば、1kg 3,000円の魚を仕入れた場合です。
3,000円 ÷ 1,000g = 1gあたり3円
この段階では100gあたり300円。ただし、仕入れた重量をすべて料理に使える場合の計算です。丸魚では頭・骨・内臓などを除くため、歩留まりを確認します。
2.歩留まりを計算する
歩留まりとは、仕入れた魚のうち実際に料理に使用できる部分の割合です。
歩留まり(%)= 使用可能重量 ÷ 仕入重量 × 100
1,000gの丸魚を下処理し、料理に使える部分が500gなら、500g ÷ 1,000g × 100 = 50%。
頭や骨を出汁に使う場合は用途ごとに原価を配分する考え方もあります。ここでは主菜に使用する身だけを使用可能部分として計算します。
3.実際に使える部分の単価を出す
仕入価格3,000円、仕入重量1,000g、使用可能重量500g、歩留まり50%の場合、
3,000円 ÷ 500g = 1gあたり6円
1kg換算では6,000円になります。
| 比較項目 | 単価 |
|---|---|
| 仕入れ時のkg単価 | 3,000円/kg |
| 使用可能部分のkg単価 | 6,000円/kg |
| 使用可能部分100gの原価 | 600円 |
魚の仕入価格と、料理に使える部分の原価は同じではありません。
4.一皿あたりの食材原価を計算する
魚を80g使う場合
使用可能部分の単価が1gあたり6円なら、6円 × 80g = 480円。一皿に使う魚の原価は480円です。
500g ÷ 80g = 6.25。実際には80gの切り身を6皿分取り、20gが残る計算です。残りを別の料理に使うか廃棄するかでも店舗全体の原価は変わります。
魚以外の食材原価も加える
| 食材 | 一皿あたりの原価 |
|---|---|
| 魚80g | 480円 |
| 野菜 | 80円 |
| 調味料 | 40円 |
| 薬味・付け合わせ | 50円 |
| 合計 | 650円 |
この場合、一皿の食材原価は650円です。揚げ油なども使用する料理では、その使用分を含めて計算します。
5.一皿の原価率を計算する
原価率(%)= 一皿の食材原価 ÷ 販売価格 × 100
食材原価650円、販売価格2,000円なら、650円 ÷ 2,000円 × 100 = 32.5%。
仕入原価と販売価格は同じ税区分で比較しましょう。税抜きで統一すると比較しやすくなります。
ここまでの計算を一覧で確認
| 項目 | 計算結果 |
|---|---|
| 魚の仕入価格 | 3,000円/kg |
| 仕入重量 | 1,000g |
| 歩留まり | 50% |
| 使用可能重量 | 500g |
| 使用可能部分の単価 | 6円/g |
| 一皿の魚使用量 | 80g |
| 一皿の魚原価 | 480円 |
| その他の食材原価 | 170円 |
| 一皿の食材原価 | 650円 |
| 販売価格 | 2,000円 |
| 食材原価率 | 32.5% |
丸魚と加工済み魚は、どちらが原価を抑えられる?
仕入れ時のkg単価だけでなく、歩留まりを考慮して比較しましょう。
| 比較項目 | 丸魚 | 加工済み魚 |
|---|---|---|
| 仕入単価 | 3,000円/kg | 4,500円/kg |
| 歩留まり | 50% | 80% |
| 使用可能部分1kg相当 | 6,000円 | 5,625円 |
| 使用可能部分100gの原価 | 600円 | 562.5円 |
※歩留まりは説明用の仮定値です。加工済み魚でも骨取りや切り付けの有無で変わります。
加工済み魚は仕入単価が高くても、使用可能部分の単価が低くなる場合があります。加工賃、送料、仕込み時間、廃棄ロスも含めて判断しましょう。
関連記事:「丸魚と下処理済みの魚はどちらが得?仕入れ価格・歩留まり・人件費・廃棄で比較」
計算上の原価と実際の原価がズレる6つの理由
1. 下処理や切り付けによる追加のロス
2. 一皿の使用量のばらつき
3. 仕込み中の失敗や廃棄
4. 在庫の品質低下による廃棄
5. 仕入価格の変動
6. まかないなど販売以外での使用
一皿80gの設定でも90g使えば、魚の原価は480円から540円へ上がります。30皿では1,800円の差です。
計算上の原価だけでなく、実際の使用量や廃棄も定期的に確認しましょう。
食材原価と厨房の総コストは分けて考える
食材原価とは別に、人件費、光熱費、配送費、消耗品費などが発生します。丸魚は食材原価が低くても下処理時間が長くなる場合があり、加工済み魚は仕込み負担を減らせる場合があります。食材原価率と総コストを区別して判断しましょう。
原価管理で記録したい7つの数字
| 記録項目 | 内容 |
|---|---|
| ① 仕入価格 | 魚の購入金額 |
| ② 仕入重量 | 購入した魚の重量 |
| ③ 使用可能重量 | 下処理後に料理へ使える重量 |
| ④ 歩留まり | 使用可能重量の割合 |
| ⑤ 一皿の使用量 | 料理一皿に使う魚の重量 |
| ⑥ 一皿原価 | 魚とその他の食材の原価 |
| ⑦ 販売価格 | メニューの売価 |
まずは定番メニューから始め、仕入価格や歩留まりが変わったときに更新しましょう。
月間売上原価 = 月初在庫額 + 当月仕入額 − 月末在庫額
一皿ごとの計算と店舗全体の月次管理を組み合わせることで、実態に近い原価管理ができます。
よくある質問(FAQ)
Q.魚の原価はkg単価だけでは分かりませんか?
丸魚では頭・骨・内臓などを除いた使用可能重量まで確認すると、料理に使える部分の原価を把握できます。
Q.魚の歩留まりは何%で計算すればよいですか?
魚種・サイズ・加工方法・料理によって異なります。実際の重量を測って記録しましょう。
Q.魚の一皿原価はどう計算しますか?
仕入価格を使用可能重量で割って1g単価を出し、一皿の使用量を掛け、その他の食材原価を加えます。
Q.原価率は何%が正解ですか?
業態や価格帯、人件費などで異なります。粗利額や店舗全体の収益と合わせて判断しましょう。
Q.加工済み魚は丸魚より高くなりますか?
仕入単価は高くても、歩留まりを反映すると逆転する場合があります。使用可能重量をそろえて比較しましょう。
まとめ|「いくらで買ったか」から「一皿いくらか」へ
魚の原価管理は、①kg単価 ②歩留まり ③使用可能部分の単価 ④一皿原価 ⑤原価率の順に計算します。
特に丸魚では、仕入価格だけを見ると実際の原価を見誤ることがあります。大切なのは「魚をいくらで買ったか」だけでなく「一皿いくらで提供できているか」を把握することです。
関連記事:「飲食店の魚の仕入れを効率化するには?発注・在庫・仕込みを見直す7つのポイント」
魚の仕入れを、もっとシンプルに。
ファインアトラスでは、魚そのものの価格だけでなく、仕入れ・加工・在庫・仕込みまで含めて、飲食店が使いやすい新しい仕入れの仕組みづくりを進めています。
必要な魚を、必要な分だけ、料理人が使いやすい状態で届けることを目指しています。
厨房の負担を減らしながら、料理人が料理に集中しやすい環境をつくっていきます。