魚の仕入れ
飲食店の魚の仕入れを効率化する7つの方法|原価・在庫・仕込みを見直すポイント
「魚の仕入れ価格が上がり、原価管理が難しい」
「魚の下処理や仕込みに時間がかかり、厨房の負担が大きい」
飲食店で魚を扱う際、このような悩みはないでしょうか。
魚の仕入れでは、1kgあたりの価格だけでなく、下処理による歩留まり、仕込み時間、在庫管理、廃棄ロスも考える必要があります。仕入れ価格が安くても、使える部分が少なかったり、仕込みに時間がかかったりすれば、結果としてコストが高くなることがあります。
大切なのは、魚の仕入れから料理の提供までを一つの流れとして考えることです。この記事では、飲食店の魚の仕入れを効率化する7つの方法を、原価計算の例とともに紹介します。
飲食店の魚の仕入れを効率化する7つの方法
1.歩留まりを含めて原価を計算する:実際に使える魚のコストを把握する
2.発注条件を統一する:発注ミスや確認作業を減らす
3.鮮魚と冷凍魚を使い分ける:仕入れの選択肢を広げる
4.冷凍在庫を計画的に活用する:欠品や過剰在庫を防ぐ
5.加工状態を比較する:下処理の負担を減らす
6.仕込み時間を把握する:厨房の作業効率を改善する
7.仕入れ全体の流れを見直す:総合的なコストを管理する
すべてを一度に変える必要はありません。自店で負担の大きい工程から見直しましょう。
1.kg単価だけでなく、歩留まりを含めて原価を計算する
魚の仕入れ価格を比較するときは、1kgあたりの単価だけで判断しないことが重要です。
例えば、1kg3,000円の丸魚を仕入れ、下処理後に料理へ使用できる部分が500gだったとします。
計算例
仕入れ価格:3,000円/kg
調理に使える重量:500g
歩留まり:50%
正味原価:3,000円 ÷ 0.5kg = 6,000円/kg
1皿に100g使う場合の魚の原価:600円
このように、仕入れ価格が3,000円/kgでも、実際に使用できる部分で換算すると6,000円/kgになります。
ただし、アラや骨を出汁などに活用できる場合は、その価値も考慮する必要があります。正確な原価管理には、魚種や加工状態ごとの歩留まりを把握することが大切です。
関連記事 魚の原価を正確に管理するには?kg単価から一皿原価まで解説
2.魚の発注条件を統一する
魚の発注では、仕入れ先との認識違いが、確認作業や納品後の手間につながることがあります。同じアマダイでも、サイズや加工状態が異なれば、厨房での使いやすさも変わります。
発注時には、次の5項目を明確にしておきましょう。
- ・魚種:アマダイ、真鯛、のどぐろなど
- ・サイズ:1尾750~1,000gなど
- ・数量:10尾、5kgなど
- ・用途:焼き物、煮付け、刺身など
- ・加工状態:丸魚、セミドレス、フィレなど
これらに加え、納品日、価格、保存状態も確認します。発注内容を定型化すれば、担当者が変わっても同じ条件で注文しやすくなり、業務の属人化を防ぐことにもつながります。
3.鮮魚と冷凍魚を料理に合わせて使い分ける
魚の仕入れを効率化するには、鮮魚だけにこだわらず、冷凍魚も選択肢に入れることが有効です。
鮮魚と冷凍魚の比較
仕入れ:鮮魚は水揚げや流通状況の影響を受けやすい。冷凍魚は確保済みの在庫から調達できる場合がある。
保存:鮮魚は比較的短期間の使用を想定する。冷凍魚は適切な冷凍保管で長期保存が可能。
仕込み:いずれも商品によって下処理が必要。冷凍魚にも加工済み商品がある。
注意点:鮮魚は鮮度と温度管理、冷凍魚は冷凍保管と解凍管理が重要。
冷凍魚の品質は、漁獲後の処理、凍結方法、保管温度、解凍方法などによって異なります。適切に処理された冷凍魚は、品質を保ちながら計画的に使用できる可能性があります。
ただし、冷凍魚であれば必ず品質が高いわけではありません。用途に合う商品を選び、適切な方法で解凍することが重要です。生食用途では、商品の衛生管理状況や寄生虫対策なども別途確認しましょう。
関連記事 冷凍魚のおいしい解凍方法|ドリップを抑えて食感を保つコツ
4.冷凍在庫を計画的に活用する
天然魚は、天候や海況、季節によって水揚げ量が変動します。そのため、必要な魚を必要な日に必ず仕入れられるとは限りません。
こうした不安定さへの対応策の一つが、冷凍在庫の計画的な活用です。使用頻度の高い魚を適切な時期に確保して冷凍保管すれば、急な水揚げ減少による影響を抑えられる場合があります。
ただし、在庫を多く持てばよいわけではありません。保管スペースや電気代などのコストがかかり、長期間の保存によって品質が変化することもあります。
重要なのは、販売実績や予約状況をもとに必要数量を把握することです。在庫数量、入荷日、期限、保管場所を記録し、過剰在庫や使い忘れを防ぎましょう。
5.丸魚と加工済み魚のトータルコストを比較する
魚は丸魚だけでなく、セミドレス、フィレ、ポーションなど、さまざまな加工状態で仕入れられます。
丸魚は加工済み商品よりkg単価が低い場合がありますが、厨房での下処理時間や廃棄物の処理も考慮する必要があります。一方、加工済み魚は加工費が含まれるため単価が高くなる場合があるものの、下処理の負担を減らし、調理に使える重量を把握しやすい利点があります。
比較例:同じ魚種を1kg仕入れると仮定した架空の数値
丸魚 加工済みフィレ
仕入れ価格 3,000円 4,500円
調理に使える重量 500g 900g
正味原価/kg 6,000円 5,000円
この例では、加工済みフィレの方が仕入れ価格は高いものの、使用できる重量で比較すると正味原価は低くなります。
実際の歩留まりは魚種、加工仕様、用途によって異なり、上記には仕込み人件費や配送費を含みません。丸魚のアラを活用できる店舗では、結果が変わる可能性もあります。
関連記事 丸魚と下処理済みの魚はどちらが得?仕入れ価格・歩留まり・人件費・廃棄で比較
6.仕込み時間を人件費として把握する
魚の仕入れを考える際、見落としやすいのが仕込み時間です。
例えば、毎日1時間を魚の下処理に使っている場合、月25日営業なら25時間になります。時給1,500円で換算すると、次のようになります。
1時間 × 25日 × 1,500円 = 月37,500円
これは仕込み作業に相当する人件費の試算であり、仕込み時間を減らした分だけ実際の人件費が削減されるという意味ではありません。
しかし、作業時間を短縮できれば、調理準備、メニュー開発、衛生管理など、ほかの業務に時間を充てられる可能性があります。限られた人数で厨房を運営している店舗では、仕込み工程の見直しが業務全体の効率化につながります。
関連記事 魚の仕込み時間を減らすには?厨房作業を効率化する6つの方法
7.発注から料理の提供までを一つの流れで見直す
魚の仕入れ業務を効率化するには、発注だけでなく、その後の工程も含めて考えることが重要です。
発注 → 入荷 → 保管 → 解凍(必要な場合) → 下処理 → 仕込み → 調理 → 提供
例えば、発注数量が適切でも、保管場所が整理されていなければ在庫確認に時間がかかります。加工済み魚を仕入れても、解凍や仕込みの方法が統一されていなければ、期待した効率化につながらないこともあります。
各工程で発生する作業時間やロスを確認し、負担の大きい部分から改善していきましょう。
魚の仕入れを効率化するチェックリスト
- 魚の歩留まりを含めた正味原価を把握している
- 魚種・サイズ・数量・用途・加工状態を統一して発注している
- 鮮魚と冷凍魚を用途に合わせて使い分けている
- 在庫数量や期限、保管場所を把握している
- 丸魚と加工済み魚のコストを比較している
- 魚の仕込み時間を把握している
- 発注から提供までの工程を見直している
チェックが付かなかった項目は、改善を検討するきっかけになります。取り組みやすい部分から始めましょう。
よくある質問(FAQ)
Q.魚は産地から直接仕入れた方が安くなりますか?
A.必ずしも安くなるとは限りません。産地での価格に加えて、送料、最低発注数量、加工費、保管費などを含めて比較する必要があります。店舗に届いてから使用するまでの総合的なコストで判断しましょう。
Q.冷凍魚を使えば仕入れは安定しますか?
A.適切に確保・保管された冷凍在庫があれば、水揚げ状況に左右されにくい仕入れにつながる場合があります。ただし、在庫数量には限りがあり、すべての魚種を年間を通じて安定調達できるわけではありません。
Q.丸魚と加工済み魚はどちらがお得ですか?
A.店舗の調理体制や用途によって異なります。丸魚にはアラなどを活用できる利点があり、加工済み魚には仕込み時間を減らしやすい利点があります。正味原価、仕込み時間、廃棄物の量などを比較して判断しましょう。
まとめ|魚の仕入れはトータルコストで考える
飲食店の魚の仕入れを効率化するには、kg単価だけでなく、歩留まり、在庫、加工状態、仕込み時間まで含めて考えることが重要です。
発注条件を統一し、鮮魚と冷凍魚を使い分け、必要に応じて加工済み魚を活用することで、厨房の負担を軽減できる可能性があります。
まずは、自店で最も時間やコストがかかっている工程を把握することから始めましょう。
魚の仕入れを、もっとシンプルに。
ファインアトラスでは、産地での仕入れから加工、急速冷凍、冷凍輸送、解凍、仕込み、配送までをつなぐ、新しい仕入れの仕組みづくりを進めています。
必要な魚を、必要な量だけ、料理人が使いやすい状態で届けることを目指しています。
魚の仕入れ数量や加工状態、仕込みの負担などについてお悩みの方は、ファインアトラスへご相談ください。